新治市民の森とは

HOME / 新治市民の森とは

新治市民の森の概要/ Overview

所在地
横浜市緑区新治町・三保町
開園
平成12年3月
面積
67ha
管理団体
新治市民の森愛護会

新治市民の森は、横浜市緑区の西部、JR横浜線十日市場駅から徒歩20分の所に位置します。かつて緑区は、横浜一緑の多い、田園風景の広がる地でした。

それが昭和40年代後半から始まった猛烈な宅地開発により、次々に緑地が消滅していきました。そんな中でこの新治市民の森は、横浜市の北部で唯一まとまって残された、“最後の森”“奇跡の森”と言える貴重な場所なのです。

ここには昔ながらの里山と谷戸(やと:長い年月をかけた水の侵食で大地が谷となったもの)の風景が広がり、クヌギ・コナラ林や杉、ヒノキの茂る尾根に谷間が複雑に入り組んで作られる景観は、まさに横浜の原風景を思い起こさせます。

さらに市内で確認されている約1,400種類の植物の内、おおよそ半分が見られるなどの豊かな植生も有しています。谷戸部は水田、畑地として利用される一方、休耕田にはヨシやガマ、カサスゲなどの群落が見られ、平地のハンノキ林は市内ばかりでなく、県内でも大変貴重なものとなっております。この他、昆虫や鳥類も種類が豊富で、オオタカの営巣が確認される等、質の高い生態系が維持されております。

しかし、その一方で樹林地が薪炭用等に利用されなくなり、経済性を失ったことや、土地所有者の高齢化などによって、手入れが行き届かなくなり、倒木が目立ちはじめ、景観や生物の多様性に関する課題も顕在化していました。

そのような状況の中で、この新治市民の森は、自然環境を将来に継承していくことが都市の快適な環境をつくる上で重要だと考える横浜市と、「森の保全に関わりたい」という地域住民の積極的な声が一体となり行政と市民が協働し、新しい形の保全・管理組織による森の再生モデルを創造することを目指し、2000年に横浜市内では23番目の「市民の森」として開園しました。

森の四季/ Four Seasons

新治の自然は里山として昔から人々の手によって維持されて来ました。
ですからその四季折々の姿は、人々の生活の営みと密接に関係しながら、ゆっくりと静かに形づくられたのです。
それらは、かつて日本のどこででも見られた風景でした。

新治市民の森の植物/ Plant

1~3月 [冬から早春にかけて]

冬の間、森の中には花は殆んど咲いておらず、ひっそりとしていますが、藪の中を良く見ると淡紅色も小さな花が咲いているのが見えます。ウグイスカグラの花です。花は少なくてもヤブラン・ジャノヒゲ・アオキの実が楽しめます。谷戸へ出ればタネツケバナやオオイヌノフグリがところどころに見られるでしょう。
3月になれば、いっせいに早春の花が咲き出します。ヒメオドリコウソ・ハコベ・アオイスミレ・コオニタビラコ・ホトケノザ・キランソウなど。森にはコブシやキブシ・ミツマタ・シュンランの花が見られます。タチツボスミレがいたるところで見られるようになるでしょう。

4月から6月 [春から初夏にかけて]

森に谷戸に、いたるところで多くの花が見られます。キュウリグサ・ヘビイチゴ・ムラサキケマン・トウダイグサ・ヒメウズなどあちらこちらに。
珍しい花では、谷戸の斜面にホタルカズラやアマドコロ、広場にはアカバナユウゲショウやセリバヒエンソウ、森の中には林床にチゴユリ・フデリンドウ・キンランなどが、頭上にはウワミズザクラ・ホオノキ・ミズキ・エゴノキの花、観察路にナツトウダイ・ニリンソウ、池ぶち広場のフジは一見の価値があります。「へぼそ」の名前の由来となったカラスビシャクも見られるかもしれません。

7~9月 [夏から初秋にかけて]

春の咲き誇った花が終わり、夏の花が見られるようになります。土手にはヤブカンゾウやアキノタムラソウ・ヤマユリが、水辺にはミソハギやガマが、ヒメジョオンはいたるところに、森の中では林床にハエドクソウやヤブランの花、上を見ればネムノキの花やウワミズザクラの実が見られます。9月になれば秋の花があちこちに。
散策路ではヌスビトハギ・フジカンゾウ・センニンソウが咲き誇り、カノツメソウがひっそりと存在を示します。谷戸の土手にはワレモコソウ・キンミズヒキが、キツネノカミソリやヒガンバナも見られるようになります。

10~12月 [秋から冬にかけて]

秋が深まると、森での見どころは、花より実に移って行きます。少ない花の中では、ミゾソバ・シラヤマギク・カシワバハグマ・ツクバトリカブト・コウヤボウキ・ヤクシソウ・サラシナショウマなどが目を引きます。実にはゴンズイ・コブシ・クサギ・カラスウリ・サワフタギ・ヒヨドリジョウゴなど面白いものがたくさん見られます。

新治市民の森の野鳥/ Wild Bird

市街地の中にある森で標高も低いため、珍しい種類を期待することはあまりできませんが、森が豊かなため、里山などに生息するほとんどの野鳥と出会うことができます。
食物連鎖の頂点に位置する猛禽類では、オオタカ、ノスリ、ハイタカ、ツミなどに出会うことができます。森の生物相の豊かさを象徴する野鳥たちです。
初夏、晩秋には渡り鳥の多くの種類が通過していきます。初夏はキビタキ、オオルリなどの姿も声も美しい山の鳥、晩秋には海外からわたってきたカシラダカ、ジョウビタキなどに加え、高い山から下りてきたアオジなどが見られます。
新治市民の森は、日本の里地・里山を特徴づける水田の多くが失われたため、水辺の鳥が少ないのが残念です。それでも池ではカワセミが繁殖し、湿地にはサギやカモの仲間も訪れます。

新治市民の森の生物/ Living Things

周囲を小高い丘に囲まれそこから滲み出した水は谷戸を作り新治市民の森の代表的な景観となっています。
そこを棲み家としている虫たちは、幼虫の頃水の中で暮らすトンボやホタルが代表的なものですが、特にトンボの仲間は30種類を越えいろいろな環境が点在している事を証明しています。その他にも谷戸の湿り気を好む植物に依存して生きているシジミ蝶や、林縁をせわしなく飛び回るアゲハの仲間がいます。
また水辺の生態系で重要な役割をしているカエルの仲間も数種類観察する事ができ、春から夏にかけて賑やかなカエルの合唱が谷戸に響き渡ります。
その他にも雑木林に君臨する昆虫界の力持ちカブトやクワガタ、宝石のように美しいタマムシやカミキリムシ等の甲虫類。秋の到来を告げるコオロギやキリギリスの仲間等沢山の虫たちの存在が新治の森をより魅力的なものにしています。

新治地名マップ/地名由来/ MAP

新治市民の森の主な地名とその由来をご紹介します。
マークの付いた地名をクリックすると画像が表示されます。

新治地名マップ

穴谷戸 曲坂 向山 検見坂 籠場 常見谷戸 やまんめ山 向ヶ原 池ぶち むじな谷戸 旭谷戸 鎌立の奥 百久保 平台 おんぱく山 へぼそ 丸山 九遠分

新治地名マップ/ MAP

新治市民の森のMAPをご紹介します。

新治地名マップ